沖縄はわたしの学校

数年前までは沖縄の派手な新成人が全国的な話題でした。ここ数年沖縄の新聞が伝えてくれるのは、温かな気持ちになる成人式の様子です。晴れ着レンタルの事件があった年には、お母さんやおばあちゃん手作りの晴れ着の話題もたくさんありました。織物や紅型の盛んな沖縄ならではだと思っています。名護の光文字も毎年楽しみにです。

今年も沖縄タイムスに載っていた二つの記事に目が留まりました。気にかかっている名護の光文字は、「命」でした。東江中OBの約50人は亡くなった同級生2人の遺影を胸に抱えて参加したそうです。「命があるのは当たり前のことじゃないと、友達が亡くなって気付かされた」と思いを込めたということでした。銭ケ森の山肌に１月末まで点灯するそうです。

もう一つは「大人がよってたかって20歳の子を可愛くする成人式プロジェクト」。若年出産した少女らの調査を続ける琉球大の上間教授が振袖や帯の貸与、寄付などをSNS上で呼び掛けたのだそうです。「『その日は幸せだった』という思いをさせてあげたかった」という上間さんの言葉がありました。「きれいにしてもらえて楽しい日だった」とのシングルマザーの女性の声も。上間さんの書かれた『裸足で逃げる』を読むと、大変な思いをしながら彼女たちにずっと寄り添っていることがわかります。

去年、沖縄で育った少女が千葉県で虐待されて亡くなった事件がありました。その時、いろんな識者の声があふれていましたが、一番響いたのは「私たちは今度もまた、風かたかになれなかった」という上間さんの言葉でした。「風かたか」とは沖縄の言葉で「風よけ」という意味だそうです。

「『大人』がよってたかって『20歳の子』を」という表現に、大人の愛情を感じました。